2013年7月19日金曜日

廃病院への肝試しと心霊体験

廃病院への肝試しと心霊体験

いつも男ばかりでつるんでいた俺に、彼女ができた。

俺にはもったいないくらいかわいい女の子だったが、嫉妬深いことだけが玉に瑕だった。

真面目ではなかった俺は、友達とのしがらみも多く、男同士の付き合いが日常茶飯事。


その日は、男7人で地元の有名な心霊スポットの廃病院へ、肝試しに行くことになっていた。

ただ、彼女にはどうしても男だけの付き合いというものが理解できないようで、なかなか納得してくれない。

困った俺は、心霊スポットの廃病院に到着すると、男7人で集合写真を撮影し、彼女にメールで送った。

これなら、分かってもらえるだろう。




その後、心霊スポットでは、はしゃぎにはしゃいだ。

男だけで、「ワーキャー」言いながら、楽しんだ。

だが、仲間の1人Aだけが顔色が悪く、微妙に震えているようだった。

「具合が悪いのか?」と尋ねると、

「・・・・ここは、マジでやばい・・・帰ったほうがいい。」

と言い出す。

「こいつビビッてるよー。」

と、みんなでAを冷やかして遊ぶ。

でも、Aはそれで退くことはなく、なおも

「女だ・・・・着物着た女が俺たちを追いかけてきてるんだ・・・・」

と言っていた。

まあ、確かに心霊スポットというだけあって廃病院への肝試しは、ちょっとは不気味だ。

心霊体験を妄想して、ビビッてしまうAの気持ちが内心分からないでもない。

今は、そっとしておいてやるか。

仲間たちは多少気を利かせて、もうAをからかうのはやめた。




ん?



俺の携帯に、彼女からメールが入っていた。

中身を見ると、

「誰よ?この女?」

と、絵文字もなく怒った様子の文章だった。

女って何だ?

俺は意味が分からない。


慌てて、彼女に電話する。

こいつは何か勘違いしているんだ。


すぐに彼女は電話に出てくれたが、怒った様子だった。

「男だけで肝試し行くって言ってたのに!」

「ああ、男だけだよ。写真送ったろ?」

「じゃあ、○君(俺のこと)の隣に写っている着物の女誰よ?仲良さそうに腕なんて組んじゃって・・・・」

俺は絶句した。

なんだよ、着物の女って?

腕組むってなんだよ?

全身が凍るように冷たくなる。

俺は、電話をいったん切ると、Aの元に走った。

そして、先ほどの着物の女について詳しく聞いた。

赤い着物を着て、黒髪は長く、どうやら俺を気に入っているらしい。。。。


怖くなった俺は、その日はみんなを説得してその場からすぐに撤退した。

みんなは納得していなかったが、Aに続いて俺までおかしくなったことから、少し不気味に思ったらしい。


その後、彼女に俺の送った写真を見せてもらうと、確かに俺の隣には

赤い着物を着た、黒髪の女が写りこんでいた。

ニターっと笑った顔で、俺の腕をぎゅっと掴んでいたのだ。


その日以来、俺は興味本位で心霊スポットに行くのをやめた。


Aと彼女がいなかったら、あのまま俺はどうなっていたのか分からないのだ・・・・





<廃病院への肝試しと心霊体験>終わり

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