2013年8月17日土曜日

文化祭と怪談百物語

文化祭と怪談百物語
 
これは高校時代に体験した、怖い話の実話だ。
 
当時男子校に通っていた俺。
 
基本的に男子校というのは、女子との出会いや接点というのはほとんどなく、文化祭は他校の生徒が来てくれるので有難い行事だった。
 
で、うちのクラスは出し物なにをやろうかということになったのだが、やっぱ女ウケを狙いたい(笑)
 
そこで、幽霊系とか怖い話なら他校の女子たちも「キャー」とか言って、盛り上がるのではないかという安易な発想から、うちのクラスの出し物は「怪談百物語」ということに決定した。
 
本当は、お寺みたいな場所を借りて本格的にやりたいところだけれど、そこは高校の文化祭。
 
怪談はすべて教室で行い、それをビデオ録画するということになった。
 
ビデオで録画したものを、当日に流すのだ。
 
これで盛り上がるかどうかは別にして、高校の文化祭のスケールなんてこんなものでしょ(笑)
 
ある日の放課後。
 
使っていない教室にクラスのメンバーが集まって、部屋の電気を暗くし、ろうそくの炎だけで怪談を話していく。
 
一番苦労したのは、演出のための教室の暗さだ。

教室というのは窓が多く、なかなか暗くならない。

窓に新聞紙貼ったり、カーテン閉めたりして、撮影できるぎりぎりまで暗くする。

その上で、ろうそくの炎に火を灯した。

すると、それなりに雰囲気も出るものだ。

皆で、床に直に座り円になる。

そして、一人一人、各自持ち寄った怪談を話していく。

怖い話を話すのが上手い奴や下手な奴といろいろいて面白い。

で、途中。

怖い話が大好きな男、田中の番になった。

怪談フリークだけあって、話がとても上手く、皆惹きこまれた。

これぞ百物語、といった感じ・・・・

と、そのとき。

突然、話を聞いていた山根が「ヴエェッー」とえづくような気持ち悪い声をあげた。

皆がいっせいに山根のほうを見ると、ゲロを床に吹き出してしまっている。

「なにやってんだよ?」

「汚っねえな!」

「俺にもかかったじゃねーかよ!」

と、皆山根を責め立てる。

百物語の録画は一時停止。

皆に責められて、山根は泣きそうになりながらも、「誰かに首を絞められたんだ」とわけのわからない事を言っている。

誰も首なんか絞めるわけがない。

第一、この教室にいる全員が輪になって座っているのだ。

誰も山根の背後になんて行っていない。

それでも「首を絞められた」と主張する山根をフォローするために、録画したビデオを確認してみる事にした。

ビデオは2つまわしていたのだ。

話している人間を映す用の物と、クラス全体を映す用の物を。

早速、ビデオを確認。

皆で小さな液晶を覗き込む。

問題の場所はこの辺りか。。。。

次の瞬間、その場でビデオを覗き込んでいた全員の背筋が凍りついた。


映っていたのだ・・・・


誰もいないはずの、山根の背後から青白い手が伸び・・・・首を絞めているところが・・・・・・・・


山根は、このビデオを見た直後に泣き出してしまっていた。。。


正真正銘の心霊映像が撮れてしまった。


しかも、首を絞めるだなんて悪意に満ちた霊だ。


素人判断だが、これは霊からの何かしらの警告とみなし、俺たちはその年、怪談百物語をやるのを中止した。



これは、俺が高校のときに体験した実話の怖い話だ。



「文化祭と怪談百物語」終わり


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