ホラー体験・祟り「悪魔が見える」
60歳になる幸彦さんは、ある日を境に「僕には悪魔が見える」と言い出したそうだ。
最初は家族に言っていたのだが、そのうち友達やご近所さんにも言うようになってきた。
それが、冗談で言っている感じではないのだ。
真剣な顔をして、
「僕には、悪魔が見える・・・・」
と言っているのだった。
ときに、幸彦さんは怯えているようにも見えたと言う。
日に日におかしなことを言うことが増えたため、家族は心配した。
病院にも何度も連れて行ったが、一向に良くならず。
まったく良くならないどころか、日が経つごとに悪化していく幸彦さんを見かねた家族は、ある日知り合いの紹介で霊能者に見てもらうことになる。
その霊能者は、幸彦さんを見るなり、
「あなた、いったい何をしてきたのですか?!」
と驚いていたという。
霊能者には、はっきり見えていたのだ。
幸彦さんのそばには、異形の禍々しい悪魔のような者がいることを・・・・
最初こそ、知らぬ存ぜぬを通そうとした幸彦さん。
でも、霊能者の言葉を聞いて、喋るしかなかった。
「あなた、このままでは取り殺されますよ・・・・」
そう言われては、助かるために話すしかなかったのかもしれない。
幸彦さんは、若い頃から、あまり良い行いをしてこなかった。
学生時代は、弱い者をいじめ、年頃になれば女遊びをして妊娠させおろさせたことも何度もあったと言う。
人を傷つけてばかりの生き方。
結果、長年積み重ねた負の念が蓄積していってしまい、それが大きな力を持ってしまった。
大きな力は、やがて具現化してしまったのだ。
負の念の具現化したものは、文字通りこの世の者ではないような不気味な姿をしていて、悪魔に見えたとしてもおかしくはなかった。
霊能者は言った。
「私にはこれを止める術がありません。あなたが、自分のしてきた悪行を認め、悔い改めれば、もしかすると助かるかもしれない。」
そして、幸彦さんのいない場所では、こうも言っていたという。
「負の念が、あそこまで大きな力を持ってしまうと、おそらくもう何をしても止めることはできないでしょう。彼は散々苦しんだ上殺されてしまうでしょう。本当は、もっと早い段階で気がつかねばならないことなのに・・・・」
霊能者の言うとおり、幸彦さんはそれから3年後に亡くなった。
その3年間は、あまりに悲惨すぎる人生だったという。
もがき苦しみ、怯え、最後は自ら死を求め続けていたのだとか。
祟りというものが、この世の中にあるのかどうかはわからない。
でも、これはまさに負の念が長年積み重なって、悪魔ような姿の祟りになったのではないだろうか。
この話が実話のホラー体験だと言うから、ほんとうに怖い話である。
<ホラー体験・祟り「悪魔が見える」>終わり
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