リゾートバイトの怖い話「失踪」
これは、実話の怖い話である。
また、事実によるものなので名前は仮名を使用していることをご了承いただきたい。
美咲さんは、冬場に某スキー場のリゾートバイトに応募し、見事採用される。
友達との応募ではなく、一人で行った彼女は少し不安でもあったが、その不安はすぐに払拭される。
サキちゃんという同じ年の友達がすぐにできたのだ。
家こそ遠いものの、趣味も話も合うサキちゃんと、美咲さんは昔からの親友のように仲良くなれた。
また、リゾートバイト先のホテルは、バイト同士の仲も良く、雇い主のオーナーも良い人でとても楽しい時間だった。
仲良しの友達もできて、居心地も良いものだから、ずっとここに居たいくらいの気持にさえなっていた。
ただ、このバイトには、1点だけ気になることがあったのだ。
美咲さんもサキちゃんも、ホテルの客室係をやっていたのだが、どんなに混雑していても1部屋だけ絶対に使わない部屋が、そのホテルにはあったのだ。
最初は、部屋を物置など何か別の目的で使っているのかな、と思ったそうなのだがそんなことはない。
中を覗いても、いたって普通の部屋なのだ。
おかしなところはない。
「混雑時に、この部屋を使わないのはもったいない。」
美咲さんはそう思っていた。
そんな、ある日のこと。
ベテランの客室係りの人が、急遽2人も辞めることになった。
理由は良く分からない。
そして、そのことが関係しているのか、バイトのオーナーに美咲さんと、サキちゃんは部屋に呼び出されたのだった。
なぜ呼ばれたのか分からずに、二人がオーナーのもとに行ってみると、おかしな相談をされた。
「あのさ、美咲ちゃんとサキちゃんって仲良いよね?でさ、二人にお願いがあるんだよね。」
「はい、なんでしょう?」
サキちゃんが笑顔で答える。
「あのね。×××号室あるよね?」
×××号室とは、例の使われていない部屋のことだ。
オーナーは続ける。
「あの部屋の清掃を二人に担当してもらいたいんだ。特別謝礼出すからさ。そうだな、1人1日2千円上乗せするけどどうだろう?もちろん、バイト代も普通に出すからさ。」
え?
1部屋清掃するだけで、1日2千円上乗せ?
意味が分からないけど、話を聞いた二人にはありがたい提案に聞こえた。
「でも。。。。」
オーナーはさらに続けた。
「約束してほしいことがあるんだ。×××号室には、一人で絶対に入らないこと。それに、必ず10分以内に部屋から出ること。清掃は一人で行って、もう一人はドアを開けて待っていること。使われていない部屋だし、毎日掃除しているわけだから10分以内での清掃も楽勝でしょ?」
オーナーが意図することがまったく伝わってこないけれど、正直1日2千円の上乗せは有難い。
二人は、この提案を二つ返事で承諾してしまったのだった。
これが恐怖への入り口だとは知らずに・・・・
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