2013年8月25日日曜日

リゾートバイトの怖い話「失踪」2

前回→リゾートバイトの怖い話「失踪」

たった一部屋掃除するだけで、日給が2千円上乗せされることに、喜びしか感じていなかった二人。

はっきり言って、ラッキーだ。

現に、仕事自体とても楽なものだった。

オーナーとの約束通り、1人が使っていない部屋を掃除し、もう1人はドアを開けて廊下で待機する。

たったこれだけの仕事。

美咲さんとサキちゃんは、掃除と見張りを日替わりで交互に行った。

実際にやってみても、とても美味しい仕事内容だった。

どんなに忙しいときでも、この仕事をするときだけはオーナーもとても協力的なのだ。

何かオーナーに頼まれごとをされたときでも、

「あ、美咲ちゃんたち、これから×××号室の掃除に行くの?じゃあ、今のお願いキャンセルでいいよ。他の人にやってもらうから。美咲ちゃんとサキちゃんは、×××号室の掃除を優先的にやってね。」

と、やけに協力的で、助かっていたくらいだった。。。。

でも。

ある日のこと。

その日は、ホテル内がやけに混雑していて、人手が足りていなかった。

それでも、×××号室の清掃はしなくてはならない。

ころあいを見計らって、×××号室の清掃へと向かう美咲さんとサキちゃん。

その日の掃除は順番的に、サキちゃんだった。

サキちゃんが室内の清掃をしている間、美咲ちゃんは扉を開けて廊下で待機。

5分ほど経過しただろうか。

廊下にいた美咲さんは、お客さんに話しかけられた。

人手不足で、サービスがしっかりと回っていなかったのかもしれない。

お客さんからは、ちょっとしたクレームをもらい、美咲さんは神妙にそれを受け止め、サービス不足をひたすら謝っていた。

その間、×××号室の扉は閉めてしまっていた。

怒っているお客さんを前にして、清掃中の扉を開け放しにしているのは、失礼かと考えたのだった。

美咲さんにとって、、×××号室の扉を開けておくことが、そこまで大事なことだとも考えていなかったのだ。

彼女の対応の良さからか、お客さんの怒りはすぐにおさまり、部屋に戻っていった。

美咲さんは、お客さんの姿が見えなくなると、すぐに×××号室の扉を開けた。

あれ?

さっきまで、掃除機をかけていたサキちゃんの姿が見えない。

掃除機もろとも姿がない。

美咲さんは、室内に入り、洗面所やトイレなど見て回る。

しかし、サキちゃんの姿がないのだ。

部屋と外との出入り口は1つだけ。

その出入り口のすぐ外には、美咲さんが居たのだ。

サキちゃんが、この部屋の外に出たとは考えにくい。

必死で探すのだが、サキちゃんの姿は忽然と消えてしまっていた。

なに??

どういうこと?!?!

少しパニック気味になった美咲さんは、すぐに部屋を出てオーナーの元に向かった。

もしかすると、自分は大変なことをしてしまったのではなかろうか?

そんな気持ちが少なからず、芽生え始めていた。

オーナーを見つけると、今あった話をすべて聞かせた。

話を聞くたびに、顔面蒼白になっていくオーナー。。。。

最後には、少し震えてすらいた。

そして、搾り出すかのように呻いた。

「・・・・・・な、なんていうことだ・・・・・・・」

怖い、怖い!

いったい、どういうことなの?!

美咲さんとオーナーは、すぐに、×××号室に向かい扉を開ける。

そして、オーナーは

「いい?今度は、絶対に扉を閉めてはいけないよ。俺が中を見てくるから、君はここで待っていて!」

怒ったようにそう言うと、オーナーは、×××号室の中に入り、ひたすらサキちゃんを探して回った。

でも、サキちゃんは発見できず。

完全に、失踪してしまったのだった。


その後、警察は来るわ、美咲さんは事情聴取されるわで、大変なことになった。


でも、いろいろ調べた結果、なぜだか事件性はないという警察の判断から、サキちゃんの失踪は家出のような扱いになってしまったのだとか。


それから、数年経過した今でも、サキちゃんは発見されていないのだいう。


美咲さんは、涙ながらにこの話を話してくれた。


このホテルは未だに、運営しているのだとか。



リゾートバイトというシチュエーションが非常にリアルで、とても怖い話だ・・・・


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