2013年9月25日水曜日

不思議体験「天国に行った友達との約束」2

前回→不思議体験「天国に行った友達との約束」

しつこく誘ってくれるAには、事情があるのかとは思ったのだけど、その日は本当に用事があった。

俺がはっきり断ると、Aは寂しそうに言った。

「そうか。そうだよね。○(俺の名前)には○の世界がもうあるんだよね。うん、分かった。突然、ゴメン。元気でね。」

「ああ、うん。本当ゴメンね。また連絡するからさ。じゃあね!」

そう言って電話を切る二人。

そのまま俺は、お楽しみ会の準備のために友達の家に出掛けた。



・・・そして、その日の夜のこと。

家の電話が鳴った。

そのときには、帰ってきていたお母さんが電話に出る。

電話を出たお母さんの表情は一瞬で曇り、俺の顔を見ている。

電話を切ったお母さんは暗い顔でこう俺に言った。

「あのさ、今日ね。Aくんが亡くなったんだって。」

え?

意味が分からなかった。

だって、Aとはさっき電話したばかりだし。

久しぶりの電話貰ったばかりだし。

俺は聞いた。

「亡くなったって、なんで?いつ?」

「今日の3時過ぎにね。学校の帰り道に、トラックに跳ねられて即死だったんだって。」

お母さんは涙声に変わったまま続けた。

「Aくんのお母さんが言うのよ。Aくんね、最近よく言ってたそうよ。【俺にとって一番の親友は○だ】って。それでね【将来一緒に会社作るんだ】って、言ってたそうよ。」

うちのお母さんは完全に泣き出していた。


Aが事故にあった3時過ぎというと、ちょうど俺がAから電話貰った時間だ。


あいつの言ってた「こっち来れない?」っていうのは、【あの世】って意味だったんだ。


だからお金はかからないって言ってたのか。


俺はてっきり、電車賃はAが負担するって意味だと思ってしまっていた。

それにAの奴。。

まだ一緒に会社作る話本気で考えていたのか。

四年のときに、二人で計画していたんだ。

将来は二人で会社作って大儲けしようなって。

それで、儲けた金でゲームやろうなって(笑)


あいつ。


馬鹿野郎だ。


でも、俺にとっても一番の親友はお前だったよ、ちくしょう。

何、死んでんだよ、馬鹿!

これじゃ、会社作れねえだろが。

このとき、俺は不思議と怖くなかったんだ。

友達にこの話をすると、

「それってAって子に道連れにあの世に連れて行かれそうになったってことだよね?超怖い!」

とか言われるんだけど、俺は少し解釈が違うんだ。

Aは純粋に俺と会社作る約束を守りたかっただけだったんだって。

だから、俺があの世に行けないと分かると、すんなり退いてくれた。

あいつは友達を道連れにするような奴じゃないって、俺が一番分かってるんだ。




・・・・・・今俺は、20歳になったぞ、A。

もうすぐ、約束通り起業する。

社名には、俺とお前のイニシャル入れるから。

で、稼いだ金で真っ先にゲーム買うぞ。

したら、お前の墓参り行くからよ。

待っとけよ。


不思議体験「天国に行った友達との約束」>終わり

引っ越しました:友達との約束2